私たちは朝鮮学校を 「高校無償化」制度の対象とすることを求めます

全外教は以下の共同要請に賛同します。

内閣総理大臣 鳩山由紀夫 様
文部科学大臣 川端 達夫 様

<NGOと市民の共同要請>
私たちは朝鮮学校を「高校無償化」制度の対象とすることを求めます

私たちは、多民族・多文化社会の中ですべての子どもたちに学ぶ権利の保障を求めて活動するNGOであり市民です。
新政権のかかげる「高校無償化」制度においては、政権発足当初より各種学校である外国人学校についてもその範囲に含むことが念頭におかれ、昨秋、文部科学省が財務省に提出した概算要求でも朝鮮学校などの外国人学校を含めて試算されていました。
ところが今年2月、法案の国会審議を目前にしたこの時期、新聞各紙では「中井拉致問題担当相が、4月から実施予定の高校無償化に関し、在日朝鮮人の子女が学ぶ朝鮮学校を対象から外すよう川端達夫文部科学相に要請、川端氏ら文科省の政務三役が検討に入った」(2月21日)、「鳩山首相は25日、高校無償化で、中井洽拉致問題担当相が朝鮮学校を対象から外すよう求めていることについて『ひとつの案だ。そういう方向性になりそうだと聞いている』と述べ、除外する方向で最終調整していることを明らかにした」(2月26日)と報道されています。  しかし、日本
人拉致問題という外交問題解決の手段として、この問題とはまったく無関係である日本に生まれ育った在日三世・四世の子どもたちの学習権を「人質」にすることは、まったく不合理であり、日本政府による在日コリアンの子どもたちへの差別、いじめです。このようなことは、とうてい許されることではありません。

朝鮮学校排除の理由として「教育内容を確認しがたい」との説明もなされていますが、これは、『産経新聞』2月23日付けの社説「朝鮮学校無償化排除へ知恵を絞れ」にも見られるように、朝鮮学校排除のために追加された名目にすぎません。
朝鮮学校は地方自治体からの各種学校認可や助成金手続きの際、すでにカリキュラムを提出していることからも、「確認しがたい」との説明はまったく事実に反します。また、日本 のほぼすべての大学が朝鮮高級学
校卒業生の受験資格を認めており、実際に多くの生徒が国公立・私立大学に現役で進学している事実からも、朝鮮 高級学校が、学校教育法第1条が定める日本の高等学校(以下「1 条校」という)と比べても遜色ない教育課程を有していることを証明しています。

そもそも、1998年2月と2008年3月の日本弁護士連合会の勧告書が指摘しているとおり、民族的マイノリティがその居住国で自らの文化を継承し言語を同じマイノリティの人びととともに使用する権利は、日本が批准している自由権規約(第27条)や子どもの権利条約(第30条)において保障されています。また、人種差別撤廃条約などの国際条約はもとより、日本国憲法第26条1項(教育を受ける権利)および第14条1項(平等権)の各規定から、朝鮮学校に通う子どもたちに学習権(普通教育を受ける権利、マイノリティが自らの言語と文化を学ぶ権利)が保障されており、朝鮮学校に対して、日本の私立学校あるいは他の外国人学校と比べて差別的な取扱いを行なうことは、そこに学ぶ子どもたちの学習権・平等権の侵害であると言わざるを得ません。
「高校無償化」制度の趣旨は、家庭の状況にかかわらず、すべての高校生が安心して勉学に打ち込める社会を築くこと、そのために家庭の教育費負担を軽減し、子どもの教育の機会均等を確保するところにあるはずです。

朝鮮学校は、戦後直後に、日本の植民地支配下で民族の言葉を奪われた在日コリアンが子どもたちにその言葉を伝えるべく、極貧の生活の中から自力で立ち上げたものです。いま朝鮮学校に通う子どもたちには朝鮮籍のみならず、韓国籍、日本国籍の子どもたちも含まれており、日本の学校では保障できていない、民族の言葉と文化を学ぶ機会を提供しています。
このような朝鮮学校に対して、1条校と区別するだけではなく、他の外国人学校とも区別して、「高校無償化」制度の対象から除外する取り扱いは、マイノリティとして民族の言葉・文化を学ぼうとする子どもたちから中等教育の場を奪うものであり、在日コリアンに対する民族差別に他なりません。
去る2月24日、ジュネーブで行なわれた国連の人種差別撤廃委員会の日本政府報告書審査では、委員たちから「朝鮮学校は、税制上の扱い、資金供与、その他、不利な状況におかれている」「すべての民族の子どもに教育を保障すべきであり、高校無償化問題で朝鮮学校をはずすなど差別的措置がなされないことを望む」「朝鮮学校だけ対象からはずすことは人権侵害」などの指摘が相次ぎ、朝鮮学校排除が国際社会の基準からすれば人権侵害であることはすでに明らかになっています。

外国籍の子も含めてすべての子どもたちに学習権を保障することは、民主党がめざす教育政策の基本であるはずです。私たちは、朝鮮学校に通う生徒を含めたすべての子どもたちの学習権を等しく保障するよう強く求めます。

2010年3月10日

<呼びかけ>

外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク(代表:田中 宏)
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-52 在日韓国人問題研究所
電話03-3203-7575(佐藤)
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-5-3 斎藤ビル4階 みどり共同法律事務所
電話03-5925-2831(張)
〒657-0064 神戸市灘区山田町3-1-1 神戸学生青年センター
電話078-851-2760(飛田)

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メールマガジン第184号を発行しました

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今号の編集後記より

高校授業料無料化から朝鮮学校を排除する件について

鳩山首相は、納税者に約束した高校授業料無料化に関して、朝鮮学校在籍生徒を、拉致問題とのからみから対象外とする閣内の声に同調する旨表明しました。
これは、よく考えるとおかしなことばかりです。朝鮮学校生徒の保護者は、公的扶助が無くとも学費を納めます。授業料無料化は学校支援ではなく家計支援が目的なはずです。また、「朝鮮学校でどのような教育が行われているか不明である」ことを理由としていますが、不明ならばまず調査するのが当然ではないでしょうか。
さらに、朝鮮学校在籍者のなかには、多数ではないとはいえ、日本国籍のこどもが一定程度います。政府は、自国民に対する不当な差別を率先して行うことに、何らの疑念も抱かぬのでしょうか。また、外国籍ではあるが住民として納税の義務を果たしている朝鮮籍や韓国籍等の市民を、説明できない理由で差別するのもいっさい気にかけないのでしょうか。
どうやら、「友愛」の道はここに完全に閉ざされることとなるようです。

(EAS)

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第31回全外教研究大会・三重大会

第31回全外教研究大会・三重大会

  • 日時 2010年8月6日(金)~8日(日)
  • 場所 鈴鹿中学・高等学校(三重県鈴鹿市庄野1230)
  • 内容

6日(金)フィールドワーク・生徒交流会(~7日)
7日(土)全体会
8日(日)分科会

  • 詳細は決まり次第アップします

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全外教セミナー・千葉集会

第22回全外教セミナー・千葉集会

  • 日時 2010年5月8日(土)
  • 場所 千葉県教育会館303号室(千葉市中央区中央4-13-10)
  • 内容 日本語を母語としない子どもたちに、学習と進路をどう保障していくか(予定)
  • 詳細は決まり次第アップします

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『校長先生、私を差別するんですか 外国籍教員の任用(常勤講師)問題の解決へ向けて』

2008年4月に生じた神戸市立垂水中学校の外国籍教員に対する差別事件に対し、兵庫在日外国人人権協会と兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会は、これを「人権侵害事件」だとして、5月以降事実確認を求め、市教委交渉してきた。この事件は、4年間にわたって学年副主任の仕事をしてきた在日韓国人教員を副主任の職から解任するという、本人の名誉を著しく毀損する人権侵害行為であり、神戸市教育委員会の判断を受けて校長がおこなった差別事件である。
(中略)
本冊子は、この外国籍教員の差別事件と私たち(兵庫在日外国人人権協会・兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会)の闘い(神戸市教委との交渉、訪韓行動の報告、日弁連への人権救済申立書提出等)、その背景に存在する外国籍教員の任用の法的問題を整理するために発刊するものである。

前書きより・一部注釈

B5判 113ページ
頒価 500円(品切れです)

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元気のもとはつながる仲間

本書は、2006年12月の「教育基本法」全面改訂に象徴される教育の大転換期にあった四年間に、雑誌『解放教育』に連載した論稿をまとめたものである。
この連載は、表題の通り各地で「部落問題の解決を自らの生き方の課題」として地道な実践を積み上げている「仲間たちの姿」を紹介することが基軸であったが、その姿は時々に打ち出された教育政策と無関係ではあり得なかった。したがって、本書は「戦後の民主教育」「同和教育」が激しく揺さぶられる中、押しつぶされそうになりながらも、それでも「子どもたちの未来を保障するため」に踏ん張ってきた仲間たちの記録であり、同時に「崩れゆく教育」を私たちの側から、真に再構築していくために、何ができるのか、何をしなければならないのかを考えてきた記録でもある。
その答えは、まだ明確には見出せていない。だからこそ、「押し返す力」を生み出すために、ここに登場してくださった総勢100人以上の仲間たちの姿から、改めて「元気のもととなる書」となれば幸いである。

A5判 268ページ
頒価 1575円

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金泰九著『在日朝鮮人ハンセン病回復者として生きる わが八十歳に乾杯』

今年の年3月のある晩、寝付かれぬまま思いに耽っていて、ふと、「何かを書いてみよう」という思いに駆られると、妙なことに「題」まで頭に浮かぶのでした。
「わが八十歳に乾杯」と。
これまでにも、知人から、書くことを勧められたこともありましたが、「恥をかくようで」と言っては逃げていました。ところが八十歳になって初めてその気になったのだから、八十歳は私にとっては、ある意味での限界を感じさせる年齢であったのかもしれません。
十二歳のおり、日本に来て、もう早や在日生活六十九年が過ぎました。六十九年の内、長島愛生園生活五十余年、人生の大半を療養所で過ごしました。療養所の中の生活は、いわば、国から与えられた生活であるだけに、競争社会の厳しい生活苦の経験は、あまりありません。
競争社会で生ずる「他人を蹴落としてでも…」という厳しさがない分「お人よし」なのか、とも思います。文章にも随所にそのような社会性の足りなさが散見されると思いますが、杞憂であれば幸いです。
しかし、そんな拙い文章ですが、二十世紀から二十一世紀への激動の時代を、この日本という国において、在日朝鮮人ハンセン病回復者として生きた一人の人間の生きざまをお読みいただければ、このうえない幸せに思います。

「はじめに」より抜粋

B6判 334ページ
頒価 1680円

金泰九著『在日朝鮮人ハンセン病回復者として生きる わが八十歳に乾杯』 はコメントを受け付けていません

『アジアの友だちとつながろう! オッケトンム多文化共生編II-』

この冊子は、奈良県外国人教育研究会と奈良県に在住する外国人住民、また外国人住民をサポートするNPOの皆さんの協力によって作成されたものです。
2006年末現在、日本の外国人登録者数は208万人を超え、その人々の出身国・地域はますます多様化してきています。奈良県でも、現在11,000人を超える外国人住民が暮らしており、ダブルの子どもたちも含めると、外国にルーツをもつ子どもたちは確実に、学校園所の現場で増え続けています。
奈良県外教では、外国にルーツをもつ保護者や子どもたちが集い、出会いを創造する場として、なら国際こどもフォーラムという集まりをもっています。また、外国にルーツをもつ中高校生が集まり、自分たちのアイデンティティや進路について考える「在日外国人生徒交流会」という事業も行っています。それらの集いの場で、外国にルーツをもつ子どもたちが、互いにつながりあうことで、自分のルーツについて考え、文化や母語を大切にしながら、自分自身を獲得する営みを続けています。
「オッケトンム多文化共生編」は、そのような出会いの場で、子どもたちや保護者から紹介いただいた世界の国々の遊び、言葉、文化、またその思いなどをまとめたものです。この冊子は、その中から、ブラジル・ペルー・メキシコ・ボリビアなどを中心に「中南米の友だちとつながろう~オッケトンム多文化共生編Ⅱ~」という形で編集を行いました。就学前はもとより、小学校中学校高校のさまざまな学習形態の中で、資料としてご活用いただければと思います。
みなさんの机のとなりに座っている外国にルーツをもつ友だちとともに、また、みなさんの地域で暮らしている外国にルーツをもつ人々とともに、「ちがうことってすばらしい!」と感じることのできる多文化共生社会を実現するために、この冊子を役立てていただけることを期待しています。
編集にあたって、ご協力いただいた多くの方々、諸団体に感謝申し上げます。

「発刊にあたって」より

B5判 114ページ
頒価 1000円

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NPO人権ネットワーク・ウェーブ21編『むこうにみえるはvol.4 第3回シンポジウム「人口の流入出問題から見た被差別部落のこれからのまちづくり -改進地区のまちづくりへの提案-」』

NPO人権ネットワーク・ウェーブ21は、2002年に「被差別部落の人口の流入出をどうとらえるか」というテーマで、2003年には「被差別部落のこれからを人口の流入出から考える」というテーマでシンポジウムを開催してきました。この2回のシンポジウムによって、改進地区をはじめとした多くの京都市内の被差別部落が、大幅な人口の減少、高齢化と貧困化が進行していることの現状と、なぜそうなるのかがある程度解明できたと考えています。

そして、この状態をなにもせずに放置しておけば、どのような結果を招くかを予測することもできました。その予測は、部落問題の解決にはかなり悲観的なものであり、部落解放運動や同和行政が積みあげてきた成果をも崩していくのではないかというものでありました。

2回にわたるシンポジウムを踏まえ、NPO人権ネットワーク・ウェーブ21としてはどうすべきなのかを検討してきました。その結果は、たとえ未熟であっても、私たちなりの考えをまとめ、それをもとに運動関係者、行政関係者、研究者などの方々に討議をしていただき、これからの方向性を打ち出し、とりくみをつなげていくというものでした。

幸いその思いは各関係者のご理解をいただくことができ、運動関係者、行政関係者、研究者の方々の参加をいただき、NPO人権ネットワーク・ウェーブ21の『改進地区のまちづくりへの提案』をもとにしたシンポジウム「人口の流入出門代から見た被差別部落のこれからのまちづくり」を2004年12月4日に開催することができました。このシンポジウムで、各自が持っている問題意識はある程度明らかになりましたが、それを共通認識として新たなとりくみを展開していくという方向性を打ち出すことができませんでした。

それは時間的な問題もあったと思いますが、弱者切り捨て「構造改革」が急激に進む中、政治的、施策敵制約の方が強かったからではないかと考えています。しかし歴史を逆行させるわけには生きません。このシンポジウムから得た成果を、明日に引き継いでいきたいと考えています

「発刊にあたって」より

A4判 38ページ
頒価 1000円

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全朝教京都編『在日のいま-京都発-PARTII』

どちらかというと、解説的な要素が強かった前書『在日のいま-京都発-』にたいして、本書『在日のいま-京都発-PARTII』は、作文をとおして、自分自身で考えることを前提としている。そういう意味で、前書が、入門編であるとすれば、本書は、中級編であるといえよう。
編集後記に「『在日のいま』には、女性の視点がないんとちがう?」という言葉に触発されて、本書を編集したとあるが、その言葉のとおりに、作文はすべて女性によるものである。
「はじめに」は、全朝教京都大会の全体会で、高校生アピールをした金晶美が、自分の高校でおこなったアピールである。そして、青年・学生・オモニ・ハルモニの作文が続く。なかでも、それぞれの持ち場のなかでがんばっておられる、オモニたちの作文には、大いに教えられることがある。ぜひ一読していただきたい。
第5部「国際結婚を考える」では、四コママンガも交えながら、意外と知られていない、国際結婚の実態について、述べられている。さらに、第6部・第7部では、料理・音楽・遊びなどが、教室やクラブでできることとして、提案されている。『在日のいま』では飽きたらない人に、ぜひ一読いただきたい書である。

A5判 160ページ
頒価 1000円

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