メールマガジン第194号を発行しました。

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今号の巻頭言より

身近な言葉を疑ってみよう

外国につながるこどもたちと日常的に付き合っていると、何気なく日本人が話す言葉の端々が気になって仕方のないことが多々あります。例えばその一つが「入籍」という言葉です。
この言葉は平生、「結婚」とほとんど同じ意味合いで用いられていますが、専門的な法律用語です。誰かの戸籍に誰かが入ることを指します。日本国籍者は20歳になれば、親から独立した自分の戸籍をつくることができます。自分の戸籍に自分が入る、これも入籍です。戸籍の筆頭人の配偶者になることだけが入籍ではないのです。さらには、夫婦間に子どもが生まれた場合、子どもは親(筆頭人)の戸籍に入籍する、といった次第です。当然、誰かが養子に迎え入れられることも入籍です。
すでにお分かりかと思いますが、「入籍」するのは日本国籍者に限られます。外国籍者は戸籍を持たないので、誰かの戸籍から出たり入ったりはできません。しかし、外国籍者と日本籍者との婚姻は、役所に届け出れば成立します。つまり、入籍=結婚と考える風習は二重に間違っているのです。ある時、南米出身の芸能人が日本人と結婚した際、テレビが「入籍」の語を用いたことがありました。その芸能人は現在では日本籍を有しているようなのですが、結婚当時もそうだったかは分りません。
日本で長く暮らしている外国につながる子どものなかには、自分が外国人なのか、それとも日本籍なのか知らず、親にも言えず悩む子がいます。16歳に達すれば分かるはずですが、その子が外国籍だった場合、日本社会の常識が自分を避けて通り過ぎる現実に傷つくことがあるかも知れません。教育には既成の文化を強制する性質が否応なくあるのは事実ですが、間違った常識、子どもの実態を無視したものの言い様は絶対に避けたいと考えます。


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